コーヒーの精製

コーヒーの精製

 

精製とは

 

摘み取ったチェリーは果肉を取り除き生豆にすることです。

 

生産地の環境によって精製方法は様々で、

 

精製方法によっても味の特徴は大きく変わります。

 

コーヒーチェリーの断面図

 

コーヒーの果実(チェリー)には、半円形(楕円形)の2つの種子(豆)が向き合い、1組の状態で入っています。

 

チェリーの構造は、外側から外皮・果肉・パーティメント(内果皮)・シルバースキン(銀皮)・種子になっています。

 

 

熟した果実はそのまま放置しておくと短時間で腐敗してしまいます。

 

外皮、果肉などを除去し、種子を取り出す作業のことを精製と呼び、

 

精製することで長期の貯蔵や流通に耐えられるようになります。

 

この精製の中で、チェリーをパーテイメント(果肉を除去したもの。内果皮の状態)にするまでの工程は、

 

多くの場合、水を使用しますのでウエットミルと言います。

 

その後、パーティメントを脱穀し、生豆にし、選別する工程までをドライミルといいます。

 

産地には、農園もあれば小農家が農協を組織しているところもあります。

 

農園の場合はミル(精製設備)を持っていますので、農園内でチェリーからパーティ メントにし、さらに脱穀し、生豆(グリーンビーンズ)にします。

 

小農家の場合は、チェリーを仲買人やミル (精製工場)に売る場合もあれば、

 

パーティメントまで加工して売る場合もあり、産地での流通は国により、さまざまです。

 

精製は、ロースト(焙煎)という2次加工をする以前に品質や味を決定してしまう工程です。

 

精製の悪い豆をローストで修正することは不可能です。

 

したがって、精製はまずはコーヒーの本質を決める重要な工程であります。

 

4つの精製方法

 

コーヒーのチェリーからパーテイメントに加工するまでの工程(ウエットミル)は、

 

各産地でさまざまな方法がとられ、その方法によりコーヒーの香味は大 きく影響を受けます。

 

ここでは、大まかには4つの精製方法をご紹介していきます。

 

アンウォッシュ(Unwashed非水洗式)

 

 

ナチュラルあるいは乾燥式とも呼ばれ、ブラジル、イエメン、エチオピアなどで行われている伝統的な方法です。

 

チェリーを収穫後に天日や風で乾燥させ、一度で果肉を脱穀する方法。

 

この方法では、大量にチェリーを乾燥させるための広大な平地が必要になります。

 

ブラジルのように大量生産し、収穫期が乾季で雨の心配がない条件の土地が向いています。

 

工程

 

@収穫後のチェリーをそのまま天日で乾燥させます。

 

A乾燥した果肉とパーティメントを同時に脱穀します。

 

 方法は単純ですが、果肉とパーティメントを同時に乾燥させますので、乾燥に時間がかかります。

 

 水は必要としませんが、広い乾燥場が必要になります。

 

豆の質

 

柔らかく複雑な香味になります。外見上一番の問題は、未熟豆や異物の混入が多いことです。

 

ブラジルで「No.2」と格付けされた豆は、欠点が少ないことを意味しますが、

 

それでも現実的には未熟豆の混入が多く、ハンドピックという手作業の選別を必要します。

 

エチオピアのアンウォッシュトの豆は、落下したチェリーや未熟豆を含み、発酵臭も付着していることが多くあります。

 

厳密な選別が行われたものは充分なコクがあり、ウォッシュトコーヒーとのブレンドでより魅力的になります。

 

ウォッシュト(washed水洗式)

 

 

収穫したチェリーをパルパー(果肉除去機)にかけ、

 

パーティメントの状態にします。

 

パーティメントに付着しているミューシレージ(ぬめり)を取るため

 

水槽に一晩漬け置き、発酵させ水洗いする方法。

 

中南米諸国、カリブ海諸国、アフリカ、アジア、 オセアニアなど世界中で伝統的に行われている方法です。

 

この方法は、栽培地が山の斜面で、果実を干す広い土地が少ない国において必然的に採用されてきました。

 

工程

 

@チェリーを水槽に入れ、水に浮く異物(未熟豆,、枝、葉、ごみ)を取り除きます。逆に小石、砂など重いものは沈殿用の溝にためて取り除きます。

 

Aチェリーをパルパー(果肉除去機)にかけます。 完熟豆はきれいに果肉がとれますが、未熟のものはとれにくく、選別されます。

 

Bパーティメントにはミューシレージ(Muci-lage:粘液)が付着していますので、水路で発酵槽に送ります

 

C発酵槽では、微生物などによりミューシレージが分解されます。

 

気温や水温などにより、その時間はさまざまですが、10〜40時間程度かかります。

 

この工程は香味にかなり影響があり、発酵槽に漬け過ぎると過度の発酵臭が付着してしまうので、作業には熟練を要します。

 

Dミューシレージがとれたら、水洗いします。

 

Eパーティメントを天日もしくは乾燥機、あるいはそれらの併用で乾燥させます。

 

この精製方法はパーティメントを運搬するために、水路を使いますので、水を多く使います川や地下水などの水源が必要になります。

 

豆の質

 

きれいに澄んだ香味になります。外見もアンウオッシュトよりもきれいです。

 

ただし、工程が多いので、それぞれの作業がしっかりしていなければなりません。

 

1つの工程でも手抜きがあれば、香味の質が下がります。

 

天日乾燥の場合、乾燥機の場合、それらの併用の場合、それぞれに品質、香味が変わってきます。

 

セミウォッシュト(Seriwashed半水洗式)

 

ウオッシュトの工程における発酵を行わず、ミューシレージを取り除くことのできるパルパーを使用します。

 

遠心力、水圧、摩擦等を利用しますが、パーティメントのヘソ(センターカット)の部分を完全には除去できない場合もあります。

 

長所は次のとおりです。

 

@発酵の工程が短縮され、効率的な処理ができます。

 

Aウォッシュトの発酵の工程で発生しやすい劣化を防げます。

 

B水の使用が押さえられ排水で環境を汚染しにくくなります。

 

ウォッシュトの産地で、多くの農園が、この機械を導入し始めていますが、ミューシレージの除去方法の違いが、香味や生豆の保存に微妙な影響を与えます。

 

コスタリカは、環境配慮の観点から、水の使用を制限していますので、セミウォッシュトです。

 

排水は、浄化池で浄化しています。ウオッシュトにくらべ効率的で水の使用が減りますので、世界中に 広まりつつあります。

 

パナマの一部の農園では、機械で70〜80%のミューシレージを取り除き、

 

その後水槽に入れ、完全にミューシレージを取り除く方法を採用しています。

 

この場合は、ウォッシュトとセミウォッシュトの中間になります。

 

工程

 

@チェリーを水槽に入れ、水に浮く異物を取り除きます。

 

Aチェリーをパルパー(果肉除去機)にかけます。

 

Bパーティメントを天日もしくは乾燥機、あるいはそれらの併用で乾燥させます。

 

豆の質

 

香味はアンウォッシュトとウォッシュトの中間か、ややウォッシュトに近くなります。アンウォッシュトよりは品質が向上します 。

 

パルプドナチュラル(Pulpednatural)

 

ブラジルで始められた方法で、パルパーを使って果肉を脱穀し、ミューシレージのついたままのパーティメントを天日乾燥させる方法です。

 

ミューシレージがついたままですので、セミウォッシュトとは区別されます。

 

工程

 

@チェリーをパルパーにかけます。

 

Aミューシレージのついたままのパーティメントを天日で乾燥させます。

 

豆の質

 

この方法は、未熟豆をある程度取り除くことができますので、

 

アンウォッシュトにくらべ、異臭が出にくくなっています。ブラジルの一部の産地では、この方法に転換し、評価されています。

 

4つの精製方法の比較図

 

工程の違いがよくわかりますね!